NY金は6月30日終値で1800.5ドル、翌7月1日高値では1807.7ドルまで上昇し、2011年9月以来、8年9ヵ月ぶり高値水準に到達。
大台到達後の達成感もあり、1日に高値をつけた後は調整の展開となって1780ドル割れへと反落。
しかしその翌日、7月2日には米6月雇用統計で労働市場の急回復が5月から続いていることが確認される好結果となったにもかかわらず、下げ渋ったNY金は1790ドルへと反発。
米国内南部を中心に新型コロナウイルスの感染再拡大、経済活動再開の一時停止の動きも各地で広まり、景気回復鈍化懸念もNY金の高止まりをサポート。
トランプ大統領までもが「マスクを着用する」と方針転換を表明したことも事態の深刻化を物語ります。
キーワードは、トランプ、マスク、1800ドル。
マスク嫌いを公言してきたトランプ大統領による白旗宣言、ともとれる発言が象徴するように、米国での感染第2波は今後の経済回復に向けた大きな障害にも。
そして、秋の大統領選に向けてはマーケットフレンドリーなトランプ大統領の苦戦が際立ち始め、株価へのマイナス材料となって金価格をサポートすることにもつながりそうです。
そんな背景も踏まえてNY金が1800ドルを超えてきたことは、今後の展開に向けても重要なポイントとなった可能性もありそうです。
2011年8-9月の過去最高値更新の時期以降、この1800ドルラインは11月に一時的にわずかに超えただけで、強めの抵抗線となってきました。
今回6月後半に保ち合いを上抜ける形で1790ドル前後の水準に到達し、いったん減速する状態にもなったことから、1800ドルラインが9年越しの強めの抵抗線となる可能性も警戒されました。
しかし、今週あっさりとこのラインを突破したことにより、調整をはさんだとしても、今後の抵抗感は大きく緩和されることにもなりそうです。
短期的には失速を示す兆候も見られ、ある程度の調整局面をはさむ可能性も想定されそうですが、90日移動平均線から90日移動平均+10%乖離ラインまでが主要レンジとなる上昇トレンドを維持する限り、いずれ1800ドル超へと水準を切り上げる場面が訪れる可能性は高そうです。
現時点での90日移動平均線は1692.1ドル、90日移動平均+10%ラインは1861.3ドル。
ちょっとしたきっかけで90日移動平均+10%ラインを突き抜けて、過去最高値1923.7ドルを試しに行く可能性も、決して低くはなさそうにも見えます。
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