過去最大の雇用増となったことよりも、過去最大の大外れとなった市場予想のほうがサプライズ、とも言える米5月雇用統計の結果を受けて、株価急騰、リスク通貨も買われて主要国の長期金利も急上昇、安全資産の金は急落を余儀なくされました。
雇用者数が4月の-2千万人超から5月には+250万人へと急反発、失業率も14.7%から13.3%へと急回復の兆しを示した今回の結果が大幅修正されることなく、今後もある程度までは米労働市場の順調な回復が見込めそう、ということが判断できるまではもう少し時間が必要とはなりそうですが、もしそうなればNY金の重石になることは否めません。
ただし、この、その回復基調を支えているのは経済対策としての迅速な財政出動と金融政策でもあります。
ゼロ金利とマネタリーベース拡大による緩和的政策は個人や中小企業を支援するとともに、株式市場とともに金市場もサポートします。
また、NY州などでの経済活動再開は始まったばかりでもあり、同時に警察の暴力行為に対する抗議デモが全米に拡大する状況。さらに、米中対立懸念という火種も抱えながら大統領選に向かうトランプ大統領の支持率は低下の一途。その大統領選の頃には新型コロナの第2波への警戒感も高まる可能性もあります。
そもそも、経済活動再開自体が順調に進むかどうかもまだわかりません。
そんな状況を考慮すれば、高値圏での三角保ち合い下放れとなったNY金は、もう少し調整局面が進行する可能性は否定できませんが、大きく水準を切り下げる、下落局面へと向かうような展開はまだ想定できません。
三角保ち合い下放れのNY金は、一目均衡表の雲の上限付近に位置し、20日移動平均-2.5%ラインにもサポートされた状態となっています。高値保ち合い下限で下げ渋り、となる可能性も残されます。
調整幅拡大となった場合でも、3月安値から4月高値までの38.2%戻しラインや、半値戻しと雲の下限が重なる1620ドル付近も有力なサポート候補に。
次回、急騰局面が訪れた際に、3月や4月の時と同様に200ドル程度の急騰となれば、その起点が38.2%戻し付近なら1800ドル台半ばへ、50%ライン付近からの上昇でも1800ドル台前半へ。
NY金の1800ドルトライへの可能性は、まだ消えてはいないものと思われます。
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