「高止まりの地政学リスクとインフレ」VS「米FRBの利上げ加速観測」の構図で3月中旬から保ち合い傾向が続いたNY金。今週12日には米3月CPIが前年比+8.5%となり、2ヵ月連続40年超ぶりの高水準で一段高。これをきっかけに1970ドル台へと水準を切り上げたNY金は翌日にかけて1980ドル台半ばへとさらに上昇。
一目均衡表のせり上がる雲にぶつかって跳ね上がる、典型的な上昇パターンとなって保ち合い上方ブレイク。上値トライに向けた流れが加速するかにも見えました。
しかし、週後半にかけては伸び悩み。3月半ばと月末の安値1890ドル台で構成するダブルボトムのネックライン、3月24日高値1967.2ドルを超えた状態を維持するのがやっと、という状態にも。
2021年8月安値、12月安値などを経由する下値サポートラインとこれを上方向に水平移動した上限ラインとで構成する、中期上昇チャネルの上限を超えての急騰局面形成かという動きも、出だしてつまづいて巻き戻し。
この要因の一つとしては、足下で急速に強まる利上げ加速への思惑を織り込み切れていない可能性もありそうです。
FRB関係者からは5月FOMCでの0.5%利上げ支持発言が相次ぎ、これについてはもう既に十分織り込んだ状態となっているのに対し、その後年内利上げ見通しについてはまだ不透明感も。
3月FOMCでの年末予想FF金利は1.75-2.00%が中央値。
その後1ヵ月経過した時点での市場コンセンサスとしては2.50-2.75%と2.75-3.00%が拮抗状態。
いずれにしても5月以降、年内残り6回のFOMCのうち3回以上で0.5%の利上げ、残りは0.25%利上げという計算に。
今後、時間をかけて年内ハイペース利上げ見通しを織り込み、その状態で6月FOMCでの利上げ見通しか、もしくはそれ以前の関係者発言などから利上げペースダウン観測が強まるなどした場合には、NY金は本格的に上値再トライへと向かう可能性も高まるかもしれません。
そうなればダブルボトムからの上値目安2040ドル程度から、3月高値圏再トライへ、という展開も想定できそうです。
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