年明けの急騰で三役好転スタートとなった2021年のNY金、その勢いは1週間と持たずに急反落。11月末安値を起点に1ヵ月余り続いた上昇チャネルを下方ブレイクすると下げ幅を急拡大。一転して今度は三役逆転をかけた攻防へと追い込まれる、厳しい年明けとなりました。
転機となったのは6日、米ジョージア州での上院決戦投票。ある程度の接戦は想定されたものの、大方の予想を覆して民主党が2議席を獲得。大統領と上院、下院の構成で民主党が優勢となるトリプルブルーを達成。しかも、トリプルブルーで大規模財政出動となって財政悪化となるよりは、上院で共和党が過半数を獲ってねじれの構図のほうがマーケットにとってはベター、との見方を覆すように株高とリスクオンの流れとなってドル安の流れも巻き戻し。
社会的には、この日発生したトランプ大統領支持者による連邦議会議事堂襲撃事件のほうがリスク事象として非常に懸念されるべきことにも関わらず、ほぼこれをスルーするかのようにリスク選好の流れが加速。さらに、これによって中断していた議会が再開し、7日にはバイデン次期大統領が正式に認定されたことが逆にトリプルブルーを一層引き立てた感も。
追い打ちをかけるように8日の雇用統計では雇用者数がまさかの減少。これもポジティブにとらえた市場はバイデン政権の追加経済対策を期待して株高の流れへ。もう、なんでもありの様相にも。
結果的にNY金は6日に1962.5ドルまで上昇し、2日後には一時1830ドル割れへと100ドル超の急落局面を形成。
8月最高値から11月末安値までの61.8%戻し付近で上値を押さえられ、11月9日高値とでダブルトップを形成する可能性を残しての急反落となり、今後はネックラインとなる11月安値1767.2ドルが重要なサポート水準に。そしていずれこれを割れた場合には最大200ドル程度の一段安を警戒するような展開にもつながりかねない状況にも、というシナリオも。
ただし、現状の米長期金利1%超とドル安の巻き戻しの流れに対して、これを好感し過ぎの感もあり、足下のNY金の急落局面もやや行き過ぎの感も。
急落後の水準は23.6%戻し(1843.2)付近に位置し、雲の下限(当面1840ドル台)も視野に、200日移動平均線(1839.6)にもサポートされ、さらには遅行線もロウソク足にサポートされた状態でもあり、いったんはこの水準で下げ渋る展開も予想されそうですが・・・
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