インフレ指標に消費、生産、雇用、景況感など米国の3-5月経済指標は軒並み歴史的悪化を示す結果が続き、織り込み済の市場は想定以上の悪化にも、もう反応し切れない状態にも。開き直って、今後必ず訪れるはずの回復基調を見越して反発し続けてきた株式市場にもやや買い疲れの様子も。
欧米各地で進行するロックダウンの段階的解除やその準備、とともに感染拡大第2波への警戒感も高まる状況にもなり、楽観ムードを抑制します。
世界最大の感染国となっている米国では、新規感染者数の伸びはわずかに鈍化傾向ながら依然として1日当たり2万件以上の高水準。経済活動再開を望むトランプ大統領は慎重姿勢を崩さないクオモNY州知事ら現場のリーダー達との対立からストレスも絶えず、大統領選に向けてのジレンマから対中国批判に傾斜。
「習近平主席と今は話したくない」トランプ大統領は週末に、中国の通信機器大手ファーウェイへの輸出制限強化策を発表。これに対して中国側も報復措置を表明し、米中対立激化への懸念も急速に高まる状況にもなってきました。
そんな状況も背景に、高値圏での三角保ち合いが続いていたNY金は週末に上方ブレイク。高値更新への可能性も意識される状況にもなってきました。
ただし、この週末時点では20日移動平均+2.5%乖離ラインにちょうどぶつかった状態。
三角保ち合い崩れからの展開として予想されるパターンの一つ、20日移動平均+-2.5%の範囲内、1680ドルから1760ドルまでを主要レンジとした保ち合いの上限に達しただけ、と見ることもできます。
ロックダウン解除の進行自体がスローペースとなりそうで、感染第2波の動向見極めにはまだ時期尚早のようにも見え、米中対立激化懸念はこれまでも何度もヒートアップしながらも、比較的早期に落ち着きを取り戻す、綱渡り状態も続きます。
NY金は今回も20日移動平均+2.5%乖離ラインを超えて買われ過ぎ圏トライへと向かったとしても、限定的にとどまる可能性もありそうです。
・4月21日安値から23日高値までの上昇幅=98ドル
・5月1日安値から98ドル上昇した場合の水準=1774ドル
今回の三角保ち合い上放れ後の上値目安としては、1770ドル台から、今年最高値圏1790ドル前後程度までにとどまる可能性も高いかもしれません。
ただし、第2波にしても米中対立にしても、事態が今後さらに悪化することも十分想定され、1800ドルの大台トライへと向かう場面もいずれ訪れることになるものと予想されます。
将来的に米中関係のヒートアップが度を超えてしまうような危機感に発展した場合には、そんなレベルでは済まない可能性もあります。
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