FOMCを無事通過、というのが今回の印象だったかもしれません。
もう少しタカ派的との受け止め方が優勢となれば、戻り売り再開で一段安へと向かう可能性もあった状況で経済見通しは上方修正され、利上げ見通しを示すドットチャートでは2023年の利上げ予想が前回の5人から7人へと増加。
それでも中央値ではゼロ金利維持をキープしたことになり、声明文でもパウエルFRB議長会見でもコロナ禍からの完全脱却見通しが確認でき、完全雇用回復まで慎重姿勢維持を強調したことなども好感された様子でもう一段の調整は先送り。
結果的にNY金は日足一目均衡表で2月以降4回発生した雲のねじれの3回目付近、3月8日安値1673.3ドルで流れが反転、当面の底打ちへの可能性も残した状態で4回目のねじれ付近でちょうどFOMCを迎えましたが、今回は反発した流れをやや加速させるような格好にもなり、転換線(1715.5)を上抜けて20日移動平均線(1735.4)も上抜け。反発基調がもう一段継続できるかどうか、重要な攻防局面を迎える状況にもなってきました。
水準的には昨年3月安値から8月最高値までの61.8%戻し(1694.7)付近で反発。最高値を起点に半年以上続く中期下降チャネルの下限ライン付近で反発した形にもなり、年初から2ヵ月ほど続く短期下降チャネルの下限ライン付近で反発した形にもなっています。
そして、新たに少し狭めのレンジで短期上昇チャネルを形成しつつ、年初からの短期下降チャネルの上限ラインに到達。
脱・年初来下落トレンドをかけた攻防へと差し掛かってきました。
今回は当面のゼロ金利継続が約束されたような格好にはなりましたが、米長期金利の上昇基調は続き、ワクチン効果も拡大し、労働市場の回復基調なども順調に進行、インフレ加速懸念も日々高まる状況にもなっています。
FOMCメンバでも今後はタカ派転身者の増加が見込まれ、次回6月の見通し時点では2023年中央値が上方シフトする可能性は十分想定されそうです。それ以前に各地区連銀総裁発言などからも強気見通しなどが増加するようなら要注意ということにもなりそうです。
水準的には19日終値で1741.7ドル。今年高値から3月安値までの23.6%戻し(1741.6)に相当するキリの良い水準まで反発し、戻り売り再開も警戒されるところ。
この水準と年初来下降チャネルの上限ラインを突破できたなら、今年高値から3月安値までの38.2%戻し(1783.8)が次の節目となり、ここまで来ると昨年夏以降の中期下降チャネル上限ライン付近。脱・中期下落トレンドをかけた攻防が待ち構えます。
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